ニュース

J × AMPEG HERITAGE 50TH ANNIVERSARY SVT
“50”の邂逅 【後編】

  
写真=小松陽祐

2020.10.30

NAMM 2019で発表したHERITAGE 50TH ANNIVERSARY SVTの国内流通が開始された。本機をいち早く自身のサウンドへと取り入れたのが、Ampeg SVTのなんたるかを肌で味わってきたJだった。2020年、自身も50歳という節目を迎えたJに、深く探求し続けてきたAmpeg SVTサウンドについて語ってもらった。

※本動画は1年間限定公開となります。キャビネットはSVT-810AVを使用しています。

有無を言わさない、すべてをなぎ倒していくようなサウンド

━━そもそも、JさんがAmpegを意識したのはいつ頃ですか?

  自分がライヴハウスに出始めた頃、自分自身の楽器と自分自身のアンプを意識し始めた頃だね。はたして自分のサウンドってどういうものなんだろう、“自分の個性とは?”みたいな、そういう部分でいろいろな機材をチェックするタイミングがあったときに、やはり、AmpegのSVTと810というバカでかいアンプ/スピーカーの存在を知るんだよね。これは一体なんだろうと。その当時は、正直、決して弾きやすいアンプではなかったし、あの大音量をコントロールするっていうのは当時の自分には想像がつかなかった。だからこそ、いつも興味があったというか。これを操っている人たちは、一体どういうプレイをしているんだろうって。実際、自分が好きな海外のバンドのライヴ・ビデオなんかを観ると、うしろにAmpegがダダダダッと並んでいたりもしてさ。すごい“バンド・サウンド”が、そこから流れてくる。もちろんベース・サウンドもそうだけど、バンドとしてのサウンドっていうものが、強烈に響いてくる。だから、いつも気になっていたアンプだったよね。

━━LUNA SEA初期にはトランジスタ・アンプを使っていました。そこから真空管アンプへと移行していったときのご自身のモードとはどのようなものでしたか?

  簡単に言うと、ベースの音を聴感で感じているか体感で感じているか。自分自身のベーシストとしての成長のなかで、その変わり目があったんだと思う。ベースを始めた頃はフレーズに関しても細かいフレーズで、構築しているものが美しく見えた。全部がクリアに聴こえているものが理想だったし、その音の速度が速ければ速いほど魅力的に感じていたんだ。だけど、その反対側にある、音にならない音っていうか、風圧っていうか、そういったものの存在を味方につけてフレージングを作り始めたりする境目が、自分のなかにも生まれてきたんだと思う。そのときに、やはりAmpegの真空管サウンドの理由みたいなものを、感覚的に、自分のなかに得られたんだと思うんだ。それまでの自分にとってはすごく扱いづらかったものが、視点を変えると、自分の理想にもっともっと近づいていけるものだったんだって感じたんだよね。

━━フレーズをそぎ落としていく、音の本質に迫っていく過程で、極端な話、“ルート音一発がカッコいい音で出ればいい”というところを追いかけ始めた、と。

  そう、“より”ね。より、そういった場所、理屈じゃない場所に自分を連れて行きたいっていうか。それにはチューブ・アンプの、真空管の有無を言わさない音圧。耳ではなくて魂まで響くような、体の芯まで響くようなサウンド。それにやられちゃったというか(笑)。

━━レコーディングではヴィンテージのSVTも使っていますが、ライヴでは現行品を使用しています。ヴィンテージと現行品の良さの違いについては、どう捉えていますか?

  俺個人としては、ヴィンテージっていうものに対しての幻想は、実はもうずいぶん前に卒業していてね。実際にライヴをしたり、即戦力を求めている自分としては、“古ければいい”みたいな評価にはもうあまり左右されないかな。ただ、ヴィンテージの楽器っていうのは経年劣化しているわけだけど、その劣化の具合が即戦力になる場合もある。例えるなら古着屋さんで、いい感じのデニムを見つけたときと一緒というかね。いい感じで穴が空いている、いい感じで色が落ちているんだよ!ってね。そういう意味では、自分にマッチするヴィンテージの楽器を探す旅に出るというのも、ひとつのロマンとして美しいなとは思う。ただ、それと同時に、せっかく俺は現代に生きているわけだから、“今”最高なものを探し続けていたいっていう気持ちが、正直ある。この50周年SVTのように昔の回路を現代的に蘇えらせたヤツを、自分なりにエイジングさせていくことのロマンみたいなものも、すごく感じるんだ。今の俺は、どちらかと言えば後者のほう。俺の色に染めていくことのほうが魅力的かなって思う。

━━最後に、JさんにとってAmpegサウンドの魅力とは?

  このアンプを鳴らした人たちならわかると思うけど、すべてをなぎ倒していくようなサウンド。有無を言わさない、この“Ampegサウンド”はほかにはないからね。ロックが歴史をどんどん積み重ねていっているなかで、このアンプはそれをずっと見続けているわけでしょ。それにはやっぱり理由がある。その色気とか迫力とか、俺にとってはまさに最高のサウンドなんだよね。(敬称略)

取材・動画作成:リットーミュージック

前編はこちら

 

J(ジェイ)
8月12日生まれ、神奈川県出身。1992年にLUNA SEAのベーシストとしてデビュー。2000年に終幕するも2010年に活動を再開し、現在までに10枚のオリジナル・アルバムなどを発表している。1997年からはソロ活動も展開し、11枚のオリジナル・アルバムなどをリリース。50歳を迎えた8月12日にマイナビBLITZ赤坂にて無観客配信ライヴを行ない、同日に通販限定シングル「MY HEAVEN/A Thousand Dreams」をリリースした。

◎オフィシャルウェブ:http://www.j-wumf.com/
◎オフィシャルTwitter: https://twitter.com/J_wumf

RELEASE
Single「MY HEAVEN/A Thousand Dreams」(CTC1-40407)

 

■製品詳細:Heritage 50th Anniversary SVT