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J × AMPEG HERITAGE 50TH ANNIVERSARY SVT
“50”の邂逅 【前編】

  
写真=小松陽祐

2020.10.23

NAMM 2019で発表したHERITAGE 50TH ANNIVERSARY SVTの国内流通が開始された。本機をいち早く自身のサウンドへと取り入れたのが、Ampeg SVTのなんたるかを肌で味わってきたJだった。2020年、自身も50歳という節目を迎えたJに、ともに背負ってきた“50TH”サウンドについて語ってもらった。

※本動画は1年間限定公開となります。キャビネットはSVT-810AVを使用しています。

自分の音作りに近いタッチというか、感覚で、すぐ即戦力になったんだよね

━━このたびAmpeg SVTの誕生50周年を記念したアニバーサリー・モデル、“Heritage 50th Anniversary SVT”をリリースしましたが、Jさんご自身も50歳という節目を迎えました。

  そう、偶然にもね。大好きなAmpeg SVTの50周年と俺自身の50歳という年がクロスするタイミングでこういう話をするのも、不思議だなって思う。俺自身は、日々、あまり年齢を気にして生きていないというか、気がつくと“俺もこの歳になってたんだな”という感じなんだ。ただ、このアンプの、SVTの50年という歴史、それはやはりロックの歴史とリンクして重みがあるよね。

━━50歳の誕生日である2020年8月12日に開催された無観客配信ライヴにて、そのHeritage 50th Anniversary SVTを導入しました。サウンドの率直な印象は?

  俺自身が思っているAmpegサウンドのまさに王道、Ampeg黄金期のサウンドが、このなかに蘇っているというか。今まで、ふたつの時代のアンプがひとつになっているというアイディアは、なかなかなかったよね。だから最初にそれを聞いたときにはどういうものなのか想像がつかなかったんだけど、いざ、本物を見て、音を出して、“ああ、なるほど”と。このキャラクターの違い、そのふたつの良さが、まさにAmpegを表わしているなって、リアルに感じたね。

━━“Blue Line”と呼ばれる1969年仕様のチャンネル1と、1970年代中盤仕様のチャンネル2というキャラクターの違いですが、Jさんはチャンネル1をメインで使用していますね。

  自分が持っているアンプもその世代のものが多くて、より自分の音作りに近いタッチというか、感覚で、すぐ即戦力になったんだよね。チャンネル1のほうは、ヴィンテージのアンプを探し当てて、鳴らして、リアルに感じるっていう、自分のなかのAmpeg像まさにそのまま。当然すごく無骨だし、荒々しさっていうのもそこにはあって。そういう意味では、手なずけるのにけっこう時間を要するような、そんなサウンドでもある。でも、そこが俺はすごく好きなんだけどね。一方、チャンネル2は1975年。そこから時代背景も含めてスタイリッシュになったサウンドっていうか。どっちにも良さがあるから、一概にどっちがいいって言えないんだけど。

━━Jさん流セッティングのポイントとは?

  身を任せることかなって思うときがあるんだ。やはり、自分が持っている楽器の響きみたいなものが調和する瞬間っていうのを、すごく感じるアンプなんだよね。素直っていう意味では、本当に素直なアンプだと思う。だからこそ、自分が“鳴らない”と鳴らないアンプだとも思うんだ。そういう意味では、さっき言ったみたいに、“受け入れること”というか。抽象的で難しく聞こえるかもしれないけれど、そのきっかけになるというか、その瞬間を呼び覚ましてくれる音なんだよね。自分が野生になるというか。

━━近年では、大型の真空管アンプではなく小型軽量なモデルも増えていますし、足下のエフェクターで音作りを完結するスタイルも増えています。Jさんが大型真空管アンプを鳴らし続ける意義とは?

  そうだな……性格かな。めんどくさいんだよ(笑)。足下をガチャガチャやることより、ケーブルを一発ぶっこんで爆音で鳴らしたときに最高な音が出る。どこの会場に行っても俺の気持ちに応えてくれる。そんなアンプが一番かなって。もちろん、アンプを重要視しない人の意見もわかるんだ。近年、だんだん音楽の世界がシミュレーションの世界になっているわけだけど、大型真空管アンプって、その世界とは離れて行っているもんね。でももしかしたら、俺たちの世代はその両方の良さを知っているわけだから、どっちかっていうんじゃなくて、両方のいいところを使い分けていける世代なんだとも思う。だから、必要なとき、必要なだけ、自分の気持ちに応えてくれる、そんな機材をいつも求めているかな。そりゃそうだよ、小さいスタジオでこんなアンプを鳴らしたら大迷惑だもんな(笑)。(敬称略)

取材・動画作成:リットーミュージック

後編はこちら

 

J(ジェイ)
8月12日生まれ、神奈川県出身。1992年にLUNA SEAのベーシストとしてデビュー。2000年に終幕するも2010年に活動を再開し、現在までに10枚のオリジナル・アルバムなどを発表している。1997年からはソロ活動も展開し、11枚のオリジナル・アルバムなどをリリース。50歳を迎えた8月12日にマイナビBLITZ赤坂にて無観客配信ライヴを行ない、同日に通販限定シングル「MY HEAVEN/A Thousand Dreams」をリリースした。

◎オフィシャルウェブ:http://www.j-wumf.com/
◎オフィシャルTwitter: https://twitter.com/J_wumf

RELEASE
Single「MY HEAVEN/A Thousand Dreams」(CTC1-40407)

 

■製品詳細:Heritage 50th Anniversary SVT