OPTO COMP & LIQUIFIER 川崎哲平レビュー

OPTO COMP Analog Optical Compressor
ベーシスト待望の太くナチュラルなコンプ


 


コンプレッサーの種類と用途

コンプレッサーの主な種類にはVCA式、FET式、真空管式、そして本機が採用しているオプティカル式があります。オプティカル式と他の方式の違いを端的に表すと以下のようになります。

◎オプティカル式はアタックがゆったりとしたかかり方が特徴。
◎音を揃えるという点では極めて自然に均一化し、サウンド自体も色付けが少なくナチュラルな方向性。
◎ナチュラルなコンプレッション・サウンドを持つため、原音を重視するベーシストに受け入れられやすい。
◎アクティブ・ベースなどにも対応する-15dBの入力減衰パッドを内蔵する。

本機のツマミは「コンプレッション」と「リリース」、それに「アウトプット・レベル」というシンプルな構成となっており、コンプレッションは1: 1~10:1の幅で圧縮率を、リリースは75mm/sから600mm/sの幅で圧縮時間を調整できます。トゥルー・バイパス仕様。


ゲイン・リダクションLEDは便利な機能で、どれだけ入力されているかや、リリースを長めに設定したときは圧縮されている長さの確認が視覚的にもわかりやすい。構造がシンプルで、そして自然なかかり方、楽器を選ばずコンプレッサー初心者でも扱いやすいペダル、それがOPTO COMPの特徴です。


OPTO COMPの構造図です。信号の流れがよくわかると思います。


インプレッション

最初に感じたのは、「非常にナチュラルなサウンド」であること。自分自身、これまでいろいろとコンプを試してきましたが、原音のニュアンスが変わることに違和感がありました。動画を観ていただければおわかりのとおり、OPTO COMPは原音からの変化が少なく、なおかつかかり方が深くもナチュラル。

コンプレッサーを苦手としている人はスレッショルドやレシオの設定に苦戦して使うのを諦める人も多いのではないでしょうか? 本機のこのシンプルなコントロールは、コンプレッサーが苦手な人でも扱いやすいと思います。

コンプレッション・ツマミの9時あたりから薄くコンプがかかり始め、ツマミを上げていけば自然と音の粒を均一化して行ってくれます。スラップ時の強いアタックをナチュラルに圧縮してくれるので、スラップとの相性は抜群。僕自身は音の粒を揃えるというより、「積極的にコンプ・サウンドを作る」といった感じで使いたいペダルです。これをひとつ持っておくだけで、セッションなどあらゆるシーンでの安心感が得られると思います。

リズムやオケと合わせた時に、グッと音が前に出てくる感じになるので、コンプレッサー・オン/オフの切り替え時の違いを動画でぜひ注目していただければと思います。


SPECIFICATIONS
■コントロール:コンプレッション、リリース、アウトプット・レベル、オン/オフ・スイッチ
■入出力端子:インプット、アウトプット
■電源:9VDCアダプター、9V電池(※別売り)
■外形寸法:66(W)×114 (D)×56(H)mm
■重量:約300g


LIQUIFIER Analog Chorus
多彩な表情を演出するアナログ・コーラス


 


本機の特徴と用途

一般的なコーラスは原音信号に対して一つの遅延信号を組み合わせてコーラス・サウンドを作ります。このLIQUIFIER Analog Chorusは他のコーラスと異なり、二つの遅延信号を備えたデュアル・コーラス・サーキットを採用するモデルです。一つではなく二つの原音をコピーした信号を組み合わせることにより、薄っすらとかかったコーラス・サウンドからリッチでゴージャスなサウンドまでを演出できます。また、信号の一つは極性が反転されていて、原音とのミックス加減によって渦巻くようなサウンドを表現できるのも特徴的です。


「レイト」でコーラスの揺れのスピードを、「デプス」は揺れのスピードの深さや強度を調整。「エフェクト・レベル」は左に回し切った状態で原音のみ、右に回すことでコーラス・サウンドが付加されます。原音との混ぜ具合で、上述したような多彩な表情が得られ、コーラス・ペダルとしてはサイズもコンパクト、そしてS/N比の高さも特筆すべき点でしょう。こちらもトゥルー・バイパス仕様。


LIQUIFIER Analog Chorusの構造図です。ふたつの遅延回路や信号の流れが確認できます。


インプレッション

ベースにコーラスをかけると音が細くなるモノも多いですが、本機は原音にミックスしていくタイプなので、ベースの芯は残しつつコーラス・サウンドを足していくことができます。アナログ回路らしい温かみのあるコーラスといった印象で、LEDで揺れのスピードが確認できるのも便利です。

スピード幅はとても広く、揺れ幅の大きなコーラスからきめ細かい揺れまでコントロールでき、ベースの音に広がりと深みを与えてくれます。薄っすらとかけたさりげないコーラス・サウンドから、リッチでゴージャスなサウンドまで、これ1台あれば雰囲気をガラリと変えることができます。

和音を弾いても濁ることがなく、非常にきれいキレイな響きを得られるため、ギターで使用してもすごく効果的だと思いますし、レイトやデプスを強めにすればデチューン・サウンドも作ることができ、ソロの時などに面白いと思います。動画では80年代っぽく、シンセ・ベースの上にコーラスをかけたスラップ・ベースというスタイルで弾いていますので、ぜひ併せてお楽しみください。


SPECIFICATIONS
■コントロール:レイト、デプス、エフェクト・レベル、オン/オフ・スイッチ
■入出力端子:インプット、アウトプット
■電源:9VDCアダプター、9V電池(※別売り)
■外形寸法:66(W)×114 (D)×56(H)mm
■重量:約300g


文・動画:川崎哲平


Profile
1980年福岡生まれ。中学3年からギターを始めるが高校3年でベースに転向。その後音楽専門学校に入学し、在学中より福岡でプロ活動開始。2005年からは活動拠点を関東に移し、フリーのベーシストとしてレコーディング、ツアー、ライブ・サポート、セッション、TV収録、CM録音などで活躍する。ポップスからインストゥルメンタルまで幅広いプレイ・スタイルを誇り、エレキベースのみならずコントラバスも操る。
◎YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC979oIYF0rH0x_XG0EfqO_A